火災保険の質権設定とは?住宅ローンがある人は知っとくべき

代表取締役 森原 義博

 

「火災保険に質権を設定すると銀行から言われました」

「質権(しちけん)っていったい何ですか??」

新築の家に火災保険をかけるとき、よくお客さまから聞かれる質問です。

 

最近は少なくなってきましたが・・・

住宅ローンで家を建てるとき、金融機関から質権設定を求められることがあります。

 

ではこの質権っていったい何なのでしょうか??

今日は火災保険の質権設定についてお話していきます。

 

質権設定とは

 

火災保険の質権設定とは、保険金を優先的に受け取る権利を設定することです!!

 

 

たとえば火事で家が焼けた場合、通常なら家の持ち主に保険金が支払われますが・・・

銀行が火災保険に質権設定していると、その保険金はまず銀行へ行ってしまいます。

 

しかし銀行はその保険金を全額受け取るわけではありません。

住宅ローンが残っている分だけを引いて、残りは家の持ち主に渡されます。

 

つまり火事になったら、火災保険によって住宅ローンが全額返済される形ですね。

 

なぜ質権設定をするか

 

なぜ住宅ローンを提供する金融機関は火災保険に質権設定をするのでしょうか??

それは火事で家がなくなってしまっても、問題なく住宅ローンを回収するためです!!

 

 

金融機関はふつう住宅ローンを貸すとき、土地と建物に「抵当権」を設定します。

「抵当権」とは借金のカタとしておさえておく権利のことです。

住宅ローンが払えなくなったら、金融機関は土地と建物を取り上げて競売にかけます。

 

しかし火事で家が焼けてしまうと、売れるものが土地しかなくなってしまうでしょう。

すると借金の回収がうまくいかなくなる可能性があります。

そのため火災保険にも質権設定をして、万が一の時も困らないようにしているのです。

 

質権設定の手続き

 

火災保険に質権を設定するときは「質権設定承認請求書」というものを書きます。

そして火災保険の申込書と一緒にこれを保険会社に提出するのです。

(すでに火災保険に加入している場合は、保険証券と一緒に提出)

 

 

質権設定された火災保険証書はもう本人の手元には戻ってきません。

質権設定をした金融機関に送られ、住宅ローン完済まで預けることになるのです。

 

こうなると、ちょっとした支払いに対しても質権者の印鑑が必要になります。

たとえば「台風で窓ガラスが割れた」というとき、保険金をスムーズに受け取れません。

参考:台風や熱割れ…家の窓ガラス修理で火災保険を請求できる?

 

また勝手に保険内容の変更や解約などもできなくなります。

これらに対しても、事前に質権者である金融機関の同意が必要となるのです。

 

質権解除の手続き

 

住宅ローンを完済すると、金融機関から保険証券と質権消滅の書類が送られてくるでしょう。

この書類に必要事項を書き、保険会社に提出すると質権の解除ができます。

 

 

しかし金融機関によっては保険会社と直接手続きを行う場合もあります。

なので詳しくは住宅ローンを借りた金融機関に問い合わせてみてください。

 

無事に質権が解除されると、保険証券が自分のもとに帰ってきます。

 

最近は質権設定しない

 

昔は住宅ローンに質権を設定するのが当たり前でしたが・・・

最近は質権を設定する金融機関がだんだんと減ってきています。

 

 

銀行によっては火災保険に加入したかの確認だけであったり・・・

火災保険証書のコピーを渡すだけとなっています。

 

金融機関が質権を設定しなくなった理由は以下の2つが考えられるでしょう。

 

1.事務手続きの軽減

 

質権を設定するにはそれなりの手間と時間がかかります。

また証書の管理も必要ですし、その分だけ事務手続きが増えるのです。

したがって質権設定には余分にコストがかかることになります。

 

低金利ということもあり、住宅ローン競争はどんどん激しくなっています。

お客さまに素早く融資を実行するという観点からも・・・

現在は質権設定をなくす方がメリットが大きいのでしょう。

 

2.収益の最大化

 

たとえば住宅ローンが1千万円残った状態で家が焼けた場合・・・

金融機関は質権を行使して保険金から1千万円を回収することができます。

 

しかしそうすると、1千万円を期限前に全額返済されたような形になり・・・

本来、受け取れるはずだった1千万円分の利息を手放すことになるのです。

 

また住宅ローンをすべて回収してしまうと、お客さまとの取引もなくなってしまいます。

総合的に考えると質権を設定しない方が長期的に利益となる可能性があるのです。

 

まとめ

 

火災保険の質権設定とは、保険金を優先的に受け取る権利を設定することです。

これによって金融機関は安心して住宅ローンを提供することができます。

しかし最近は質権設定をしない金融機関が増えていますよ。